ボストン渡航記 & MHKH日本渡航記 (2023年)

 MHKH(※)との国際交流の一端として、2023年9月7日~14日の期間において、全日本学生空手道連盟(JUKF)による学生の海外派遣を実施いたしました。派遣先はMHKHがあるボストンとし、当理工科系学空連からは5名の学生が参加いたしました。

 前回以上の実りある遠征で、渡航記を本ページに記します。また「写真館」ページの「ボストン訪問写真一覧2023年」にある写真もお楽しみください。

 

 (※)2022年にMIT・HARVARD大学を中心としたMHKH(MIT HARVARD Karate HUB)との交流参画が実現、正式にMHKHの学空連加入が決定。

 

【追記】

 MHKHの日本渡航記を「写真館」ページに追加しましたので、同様にお楽しみください。

理工科系学生空手道連盟 ボストン渡航記

全日本理工科系学生空手道連盟

理事長 橋本義清

 

 (一社)全日本学学生空手道連盟は20239月7~14日に長田副理事長以下総勢27名を米国ボストンにおけるMHKHMIT、ハーバード大学、ボストン大学、ウエズリー大学等)の学生達と空手道を通じた国際交流を実施した。理工科系学生空手道連盟としては2018年に派遣しており今回は2度目の渡航である。

 

参加者

芝浦工業大学2人(飯塚君、廣井さん)、東京工業大学1人(小峯先輩)、日本大学工学部3人(正木先輩、立沢さん、松岡君)、日本大学理工学部2人(私、品川君)の学生5名、OB3名が理工科系から参加。

(学空連全体としては大阪工業大学、大阪経済法科大学、東京大学、理工科系から学生が19名、OBは8名、計27名の参加)

 

MHKH関係

マサチューセッツ工科大学、ハーバード大学、ボストン大学、ウェルズリー大学等ボストンの学生達に加え、ワシントンからジョージタウン大学1名、ニューヨークからコーネル大学7名、英国からオックスフォード大学2名の学生達がボストンに集結し、さらにブラジルからサンタナ大学で指導をし、ライターであるパウロ氏を入れ、総勢約50名で空手の合同練習を実施。 

9月7日(木)

 連日の猛暑の中、関西の学生と関東の学生が成田に集合し、これから一週間就寝を共にする仲間としてそれぞれ自己紹介を行った。諸々の注意事項の確認などを行い、参加学生を3班に分け、それぞれのリーダー選出を行い班ごとの連帯意識も促し、一路ボストンに向け出発した。参加学生全員が国際交流への期待が見るからにあふれ出ていた。

現地時間夕刻ボストンに到着。空港では、関係者多数の出迎えを受け、ホテルチェックイン後、学空連幹部とMHKHメンバーと今回の予定の打合せ。

 

9月8日(金)

 午前中は、マサチューセッツ州議事堂の見学後、日本領事館を表敬訪問した。領事館では鈴木総領事との面談が実現し、学空連における国際交流の趣旨および今回の遠征交流内容を説明し、理解を得ることができた。

午後はボストン大学にて最初の合同練習を実施。大阪工大小林先輩、関先輩及び日大工学部小林先輩の指導の下、40名ほどのメンバーで練習を行った。渡米後初めての練習のせいか、学生は若干緊張気味であったが、すぐにいつもの感覚を取り戻したようでたくさんの汗を流していた。MHKHのメンバーも生き生きと練習をしていた。練習後、MHKHメンバーと夕食。

 

9月9日(土)

 午前(900-1100)はMITHarvard Broad Institute)での学術セミナーへの参加。学術セミナーは以下の4セミナー(各30分程度)が開催された。

① ハーバード大学の交渉学:カシアーナ氏(ハーバード大 教官)

ネゴシエーションについて講義を行なわれ、MHKHのメンバーも加わり5つのグループに分かれ参加型の講義で学生たちも楽しんでいたようである。

② 海苔による動脈硬化リスク軽減効果の研究:ニキータ博士(ボストン大)

日本の「海苔」の脳梗塞効果についての研究内容であり、学生よりも、むしろOBのメンバーの方が興味深かったのではないかと内心考えてしまった。

③ 神経発達障害の研究と空手道の関係:リカルド博士(MIT

遺伝子研究を専門とするリカルド氏の講演は、近年日本でも大きく取り上げられている神経発達障害についてのものであり、空手道が果たす効果への期待などを織り込んだ非常に興味をそそられる内容であった。参加学生等にとって空手道の奥深さをあらためて知る機会になったのではないだろうか。

④ ワシントン・ジョージタウン大学院での環境法:アマディーン氏(ジョージタウン大 大学院生)

アマディーン氏による講演は、まさに世界が抱えている環境問題についての話であった。世界各国の問題というより、現代という「時代」が抱える問題としてとらえ、学生等一人一人に問いかけるような講義に感銘をうけた。

 

 セミナー終了後、座学での疲れを癒すべく、MITキャンパス屋外の芝生にて2時間ほど合同練習を実施。前日に引き続き、小林先輩、関先輩の指導の下、練習に汗を流した。屋外での練習であったため、物珍しさもあったのかギャラリーも徐々に増え、MIT空手部の宣伝になったのではないかと思ったほどである。練習後、芝生の上でピザの昼食をとりながらの交流は、ほのぼのとした雰囲気の中で行われた。

 その後、MITセイリング副会長のカシアーナ氏(上記セミナー①の講師)の好意でMITの横を流れるチャールズ川でセイリングを行い、練習の疲れも癒す楽しいひと時を過ごした。

 夕刻1800より、MHKH主催の歓迎レセプションが開かれた。会場があるWatermark Kendallの屋上からの景色はすばらしく、到着直後の歓迎会とは異なり、学生たちの和気あいあいの雰囲気は、さすが若さのなせる業と納得する一日の終わりであった。

 

9月10日(日)

 午前中は、MIT体育館にて昇段審査を実施した。受審者は当初5名の予定であったが、体調不良による欠席があり、3名の受審となった。この3名のなかの1名は、段位取得のためわざわざシンガポールから来米したとのことである。

審査に先立ち、まず形の指導を行い、基本、形、組手の審査項目を前提とした指導を実施。さらに、段位を取得するということは、自身の強化だけにとどまらず、後進指導の資質も求められることを理解してもらうために、形の分解や一連の練習方法を併せて指導した。

普段での練習で指摘されない事や練習方法に戸惑った様子もあったようだが、審査は学空連における審査項目と同様の内容で、粛々と進められた。

審査後の講評でかなり厳しい指摘を行ったせいか、受審者の顔には不安の色が濃く出ているように見受けられた。

審査終了後、ランチミーティングでわれわれ学空連およびMHKH幹部は、国際交流における今後の展望を見据え、具体的な中長期計画について協議を行った。

 夕刻(1800-2100)の会食(Mad Monkfish)に先立ち、昇段審査の発表を行った。結果は3名全員合格であった。審査後の厳しい指摘に昇段は難しいと半ばあきらめていたとのことで、その分喜びは大きく、学生たち全員の記念すべき楽しい会食となったようである。

 

9月11日(月)

本日は1日フリータイムとした。学生達はMHKHのメンバーの案内でプリマスにあるウェルズリー大学を訪問。ここで特筆すべきは、今までは引率役の小峯先輩が通訳をしていたが、何事も経験が大事ということで学生(日大理工学部 品川君)に通訳をさせたことである。彼にとっては試合でも経験したことのない緊張の中での通訳であったろうと思う。この経験を是非今後に生かしてもらいたい。

夜は多くのメンバーが、レッドソックスvsヤンキース戦の観戦を楽しむ予定であったが、残念なことに雨で2時間待機していたにもかかわらず順延になってしまった。

 

9月12日(火)

 午後(14:00-16:00)ハーバード大学にて最後の合同練習を実施。

当練習場は大統領も使用していたという由緒ある場所での練習は気持ちの上で感慨深いものがある。14:00からということでハーバード学生は授業の為、参加できない学生が多かったのは残念である。指導はヴァズリック氏のもとで行い、我々日本人はサポートに回った。最後の合同練習という事で、学生たちも今まで以上に気合を入れて行っていた。

 夕刻(18:00-21:00)には送別レセプションが催された。

送別会ということで多くのメンバーが参加し別れを惜しんでくれた。学生達は最初の緊張感はなくなり親近感も出て、MHKHのメンバーとつたない英語、足りないところは身振り手振りでの交流が会場のあちこちで行われていた。なかでも小峯先輩がオックスフォード大学とハーバード大学の学生を誘い3名でイタリア民謡オーソレミオを合唱し大きな盛り上がりを見せた。レセプションの最後は、長田副理事長、ヴァズリック氏の挨拶があり、締め括りとして橋本の音頭による三本締めで盛会の幕を閉じた。

  

9月13日(水)

 ヴァズリック氏、カシアーナ氏の見送りを受けボストンを出発。

 

9月14日(火)

 夕刻に成田着、大阪組はそのまま伊丹空港へ向け乗り替え、全員無事帰国。

  

【総括】

 全員が怪我もなく無事帰国できたことが一番であるが、今回の学空連国際交流は20か国に及ぶ出身(参加)者、日本の6大学を含む14大学の学生・OBが集う素晴らしい遠征となったことは大きな収穫である。

 この遠征は学空連としても大きな一歩であり、また参加学生等にとっても得難い経験となり、その経験がこれからの人生において何らかの糧になることを信じたい。

 

 最後にボストン派遣に支援していただいた(一社)全日本学生空手道連盟に深謝いたします。

 又、理工科系学空連においては関係企業、各大学OB会、OB各位からの多大なる支援をしていただきありがとうございました。

 尚、この派遣に尽力していただいた長田副理事長、手配をしていただいた小峯先輩、関先輩指導をしていただいた小林先輩、正木先輩(日大工学部)に感謝いたします。 

以上

学生の体験記

ボストン遠征体験記

関東学生空手道連盟

東京大学運動会空手道部 1年 玉井雄大

 

 今回のボストン遠征では、私自身初めて海外へ行くことになり、不安を多く抱いていました。

 実際に現地に着いてみても、最初のうちは自分の思いを英語で適切に表現できない場面がしばしばあり、現地でのコミュニケーションに対する抵抗を感じました。しかし、MHKHの皆様は、私の拙い英語にも関わらず、意欲的にコミュニケーションを取ろうとし、私が伝えたいことを理解しようとして下さいました。

 そのおかげで、気づけば楽しい会話を続けることができました。このような思いやりある対応があったおかげで、英語での会話に対する自信が徐々につき、自分から積極的に会話を楽しむようになりました。

その過程で、自分の英語表現力も向上し、言語の壁を越えて新しい友人を作ることができたことに非常に満足しています。ここで築いた貴重な友情は、将来にわたって大切に育てていきたいものです。

 一方、会話だけでなく、一緒に空手をする中でも多くのことを学びました。全力で練習に取り組むことで、同じ「道」を共に歩む仲間としての強い絆が生まれました。これは会話だけでは得ることのできないものだと、心から感じました。

 言葉では表現しきれない情熱や真剣さは、練習中に最も表れるものだと思います。私も全力で練習に打ち込むことで、言葉では語り尽くせない想いを共有できたと思います。

 短い期間でしたが、お互いの心を通じた深い交流が生まれたのは、空手の練習において気持ちをぶつけ合ったからこそだと思います。この経験から多くを学び、非常に充実した7日間を過ごしました。

 この貴重な機会を提供してくださった先生方、MHKHメンバーの皆様、そして現地でお世話になった先輩方や同期に心より感謝申し上げます。

ボストン遠征体験記

全日本理工科系学生空手道連盟

芝浦工業大学 空手道部 4年 飯塚崚太

 

 先輩方、関係者の方々、大変お世話になりました。先輩方、関係者の皆様からの多大なる支援とご指導に対し、深く感謝申し上げます。

 先輩方のリーダーシップと経験豊かなアドバイスが、この海外訪問の成功に重要な要因であったことは間違いありません。

訪問先での経験は、私にとって目覚ましいものであり、異なる文化や環境での交流は私を成長させてくれました。

 ボストン、関西の文化や考え方、そして空手をする人としての考え方などの新しく異なる刺激は信念を高め、空手をする人間として洗練させてくれました。これは今後の人生において非常に貴重な資産となります。特に、歓迎会でのVazrik先生、Cassiano先生、その他先輩方のお話を聞いて大きな感銘を受けました。Vazrik先生は非常に空手道の本質を理解されており、心から空手道を愛していると知りました。そしてHarvard大学でのVazrik先生の指導は空手道の本質を伝えてくれるものでした。

 現代の空手は競技性が高くなることに伴い、組手のテクニックなどの注目が高くなり、本来の空手道というものがないがしろにされやすくなっているように感じます。しかしながら、Vazrik先生は常に空手道の精神、基本を大切にし、ご指導してくださいました。基本稽古と組手の動きの繋がりについての話は非常にわかりやすく、基本の重要性を円滑に理解することができました。

 また、MHKHのメンバーとの合同練習からは学生の空手を学びたいという意志と黒帯への憧れを驚くほど感じました。私が空手を初めたのは小学生のときでしたが、そのときは彼らと同様、黒帯に対して強い憧れがありました。黒帯を締めているこの人はきっと並外れた強さと精神力を持っているのだろうと考えていました。しかしながら、今では空手道の本質が忘れ去られていくとともに、黒帯の価値が低くなり、誰でも黒帯を締めることができようになっていると感じます。

 本来ならVazrik先生のように空手道を理解し、体現できる人が締めるべきものだと思います。これらの経験は今までの空手の練習を顧みる機会となりました。初心に帰り、空手道精神、基本を忘れずに練習に励みます。

そして、黒帯を締める身として改めて省み、これから黒帯を締める人たちにこの空手道精神を伝えていきたいと思います。

 これら知識、経験、そして情熱に触れることは、私にとって非常に貴重な経験でした。先生方の空手に対する愛と空手をする人に対する愛、そしてのMHKHの学生の空手を学びたいという強い意志、温かいおもてなしに心打たれるものがあり、この貴重な繋がりを大切にしていきたいと思いました。次はボストン側から日本に来られるということで、もし彼らをもてなす機会があるのであれば、十分に楽しんでもらえるように尽力いたします。

参加できなかった部員にもこの素晴らしい学びを共有し、空手をする人間として一緒に成長していきます。感謝の気持ちを忘れず、今後も先輩方の知恵とご指導に学び続け、先輩の影響と尊敬に報いるために邁進いたします。

これからもご指導ご鞭撻よろしくお願い致します。

 最後に、この素晴らしい機会を与えてくださり、訪問先での先生と学生との出会いを可能にしてくださったことに、心より感謝申し上げます。

ボストン遠征体験記

全日本理工科系学生空手道連盟

日本大学理工学部 工科空手部 4年 品川周蔵

 

 私はボストン訪問を通じて多くのことを、実感し学んだ。またそれらは、自分の人生の流れの中で特別な点であったと、執筆中の「今」実感しているし、今後も似たようなことを思うだろうと感じている。

 個人的な「学び」に関して代表的なことを申し上げると、まずは、文化の発祥->輸出->定着という流れを目で見て確認できたことである。私たちは普段、ある種文化の中で生活していると考えるが、その中の多くは他人や海外から伝えられたものである。逆に日本から輸出された文化も多くある。

 そして、私たちはそれらはありふれた日常であるので、注目することはない。(例えばわざわざ食卓で寿司について熱弁しようとはしない。)

 しかし、今回の訪問は、日常であった私たちの空手を一つの文化の流れとして抽出する作業であった。この作業の中で、私は特異な点をいくつか発見した。それは、「オリジンは継承されていること」、「空手に真剣であるということ」、これらの2つである。

 「オリジンは継承されている」これは、空手の本来の目的である護身としての空手がアメリカでの空手活動でも明確に引き継がれていたということである。私は、ボストンでの空手の先生であるVazrik先生と車の中で空手についてお話をさせていただいた。特に印象に残っているトピックとして、「基本、(Kihon)、立ち方(Tachikata)」についての重要性を教えていただいたことである。これは、私の空手部の田岡監督も、練習の際大変重要視して教えてくださることであり、護身として強い受け、突きを繰り出すための土台となるための重要な要素であると、学ばせていただいた。

これは、Vazrik先生によるハーバード大での練習でも大きく実感し、基本から組手への流用の際、どうしても近年主流となったスポーツ空手ばかりに目を取られてしまい、強い突きを打てないことに対する懸念をお話しされており、感銘を受けた。

 次に、「空手に真剣である」これは、言い方を変えると「空手を特別なものとして捉えている」といった具合である。これを大きく実感した瞬間というのが、「空手を一緒にできる、さらに空手について話すことが可能である」ということである。いや、日本でも空手をやり、話すことが可能である人はたくさんいる。ただ、昔、琉球王国でひっそりと生まれた空手というアイデアが、海外へ伝わり守られ発展していくことに、アメリカでの彼、彼女らは誇りを持っているように感じ、それが嬉しかった。実感の瞬間の具体的な例を挙げると、一つは、関先生のご指導のもとボストン大学の体育館にて大勢で丸く円を囲み基本をやった瞬間である。「正拳突きをしている...」、「前蹴りをしている...」、「組手をしている...」、いつもの空手の日常が、アメリカの人たちに長い年月を経て継承され、インストールされていた。私は受動的に関先生の指示を仰ぐだけであったが、周りの人が同じ空手の動きをしているこの事実に、一種の真剣さを感じた。さらに、確信を得た瞬間というのは、学生と「空手」についた話した瞬間である。通常、会話というのはお互いをある程度知った後は、特定のトピック(趣味など)について話を深ぼっていく。そして、そのトピックが両者合致しているのは80億人程度いる人類を考えると奇跡的な状況であり、なおかつ、空手というトピックで、ある程度話ができるのは、空手を真剣に捉えている証拠だと思った。(私は一切の偽りを会話の中から感じることはなかったし、やっていても興味のないトピックはまず話せないと思うし、目を見ればわかる。)

 以上、私の「学び」をまとめると、空手文化を違った視点から1週間抽出することで、日本文化の伝わり、外国人にとっては異文化である空手をどう捉えているのか、という一連の流れを、実際に人と関わりながら知れたということである。 もっともっと凝縮し、一つにまとめると、「伝統の実体験!!」。

 最後に、文頭に、アメリカでの1週間の経験が特別な点として映り、さらに将来もそう思う可能性があると述べたが、これの理由について、「伝統の実体験!!」が大きく関わっている。そこには、オリジンが存在し、伝わり、伝わった先で真剣にそれらを守り発展させる。そこには多くの人の力が存在し、誇りを持っていた。

 私は、極めて利己的な点があると常日頃から反省しているがなかなか治らない。ただ、アメリカでの空手の捉え方をはじめ、引率をしてくださった全ての人の繋がり、異文化に浸った私たちを歓迎する暖かさ、これらを目の当たりにした時、新しい考え方の種が生まれた気がした。

ボストン遠征体験記

全日本理工科系学生空手道連盟

芝浦工業大学 空手道部 2年 廣井万結子

 

 私は今回のボストン訪問に参加させていただき、たくさんの貴重な経験と学びを得ることができました。その中でも特に三つのことが印象に残り、これからそれらを意識して行動するように努めようと思いました。

 一つ目は、ボストンメンバーの空手に対する姿勢です。彼らは常に気を引き締め、真剣に空手道に向き合っているという印象を受けました。

私がこのように感じた理由は、彼らの練習風景にありました。礼に始まり礼に終わることはもちろんのこと、練習もすべて力を込めて行っており、一つひとつの動きや姿勢にメリハリがありました。

この姿を目にし、実際に一緒に練習することによって、自分自身もさらに集中して空手に取り組もうと、身を引き締めました。さらにVazrik先生から直接ご指導いただき、先生の空手道に対する熱量と思いを教えていただきました。特に「空手ではなく、空手道を極める」という言葉が印象に残っており、道に値する礼儀についても感銘を受けました。

 二つ目は、人間性についてです。正直に申し上げますと、私は大学に入ってから空手道部に入った初心者です。そのため、ボストンメンバーや日本人学生たちと対等に空手ができるほど技量はありません。

しかし、技量はなくとも私にもできることがあると考え、ボストンメンバーに積極的に話し、コミュニケーションをとることを常に意識していました。

空手を通じて話すことから始め、そこから研究についての話題やプライベートの話などお互いのことについて深く知ることができた方も多くいました。その際に気づいたのが、その方々の人間性の良さです。

私はネイティブ並みに流暢に英語を話すことはまだできません。しかし、彼女らはその英語を懸命に聞き取ってくださり、理解してくれました。これは相手に敬意があるからできることであり、自分自身も身につけるべきことだと強く思いました。そして、空手道を通じて、相手に敬意をもって、真剣に向き合う姿勢を身につけたいと思います。

 三つめは、礼儀と感謝の心を意識することです。礼儀については一緒に行った他大学の学生から学びました。監督や先輩への挨拶は、他とは比べ物にならないほど気合が入っている様子でした。これを受け、私自身も監督や先輩たちへの挨拶は、自分が思っている以上に重要なものであり、しっかりと目を見て行おうと思いました。また、今回のボストン訪問は理工科系の先輩方やボストンの方々など非常に多くの方によって成り立っているのだと実感いたしました。そのような方々なくしては、新しい出会いも経験も得ることはできませんでした。渡航前から渡航後まで支えてくださったすべての方々への感謝の気持ちを常に持ち続け、挨拶や礼儀などでそれらを示せるようにしたいと思います。

 このようにボストンでの交流では、空手道を通じて、人間として重要な姿勢を多く学ぶことができました。寛容な心や感謝の気持ちなど、改めてその重要さに気づくことができ、それらをより一層大切にしようと心から思いました。

 最後になりましたが、支えてくださった先輩方やボストンの方々に心から感謝いたします。本当にありがとうございました。私は空手道の基本のところから始め、より多くのことを身につけて、人としても成長していきたいと思います。

ボストン遠征体験記

全日本理工科系学生空手道連盟

日本大学工学部 空手道部 2年 立沢伊吹

 

 今回私は初めてボストンに行きました。正直英語に自信があったわけではありません。しかし1週間海外へ行って現地の学生と交流をするという初めての経験をしました。

 最初は言葉が通じないもどかしさもありましたがジェスチャーを使ったり知っている単語を使ったりなどして会話をすることができました。海外の学生の空手に向き合う姿、空手と勉学の両立、一つ一つの物事に真剣に取り組んでいる姿がとても印象的で学ぶことばかりでした。

 初めてボストンへ行き、学術の都市と言われている街を大学生の今、観光できたことが貴重な経験だと感謝しています。

 日本とは違った体験をしたことによって自分の視野が広がったと感じます。また空手道を通して海外の学生や日本の学生とも新たな交流ができたことがとても嬉しかったです。この経験を思い出だけにせずこれからの自分の進んでいく道の糧にしていきたいと思います。そして言葉が通じないもどかしさ、話したいことはたくさんあるけど英語がわからないため会話を諦めてしまうことも何度かありました。この悔しさを忘れずにもっと英語を勉強して今回できなかったことを次の機会に活かしていきたいと思います。

 今回私はボストンに行ったことでたくさんのことを学びました。そして本当に楽しい時間を過ごしました。私はこの経験を自ら発信していき後輩など多くの人達にも素晴らしい機会を作っていける人になりたいと思いました。

素敵な機会を作ってくださった方々、空手を通して交流してくださったすべての方々に感謝の気持ちでいっぱいです。

 とても楽しく充実した1週間でした。本当にありがとうございました。

ボストン遠征体験記

全日本理工科系学生空手道連盟

日本大学工学部 空手道部 1年 松岡泰樹

 

 理工科系としてボストンに行き、まず環境になじむのに苦労しました。

食文化、知らない人へのコミュニケーションのハードルなどの違いが日本とは大きく異なり、最初の2,3日は寝ても眠い状態が続きましたが、英語で人と話すことが新鮮でとてもよい刺激になりました。

 他国の学生と約1週間過ごし、様々なことを学ぶことができました。彼らは、空手に真剣に取り組んでいて、オンとオフの切り替えが早かったです。

彼らを見習って、オンとオフの切り替えを意識して部活に取り組みたいと思います。

 ボストンに行き、日本と考え方から違うと感じたことが、二言語以上話すのが当たり前のような世界でした。日本では、日本語だけしか話せない人が多く、英語が話せたらすごいという風潮がありますが、世界基準で考えれば、英語は話せて当たり前なのだと思いました。帰国したら英語を勉強して、もう一度アメリカに行き、今回よりも深い交流ができるようになりたいと思いました。大学の留学制度を利用してみたいです。